リーディング力を伸ばすのに必要な勉強法

少し前までは、一般的に「英語ができる」=「英語が話せる」という考え方が主流でした。学校のテストを除き、特に大人にとっての目的は話せるようになるためでした。しかし、TOEICが就職や転職、そして昇進でも大きな影響を持つようになりました。それにより、リーディング力(読解力)もとても重要になってきたのです。

また、特にコロナ禍によって、海外とのEメールのやり取りが急激に増えました。そこで「読む」という力が更に求められるようになってきています。

「リーディング力はどうやって伸ばせば良いの?」

この疑問を持った方も多いのではないでしょうか。

この記事では、リーディング力を伸ばすために必要な事。そしてそれらを伸ばすためにできる勉強法をお伝えします。

一気に全部やる必要はありません。自分に不足しているものを、ご紹介する勉強法を参考に伸ばしていってくださいね。

リーディングには何が必要? 

まずリーディング力を上げるために大切な事はなんでしょう。
それは、何を伸ばす必要があるか理解する事です。

既にできていると思う点はそこまで時間をかけて強化する必要はありません。しかし、自分に欠けていると思う点があれば、それをしっかりと伸ばす必要があります。

では、その伸ばすべき点とは何かお伝えします。

細かい点を含めると多くありますが、まずは下記を押さえていけば良いでしょう。

1.語彙の知識
2.文法の知識
3.英語を前から理解する力

これらの知識や力が備わる事で、文書を正しく理解できるリーディング力が身につきます。

それではここからは、これらを1つずつ見ていきましょう。

単語を増やす事は必要不可欠

英語の文は、単語を並べてできており、その文が組み合わさって文書ができ上がります。要するに単語の知識が欠けている場合、文書を理解する事は難しいという事です。

よって、リーディング力を上げるためには、単語を増やす事が必要不可欠と言えます。

学校の英語教育はもちろん、単語帳を使って単語を覚えようとしてきた方も多いでしょう。

効果があった方は、その方法を続けてください。この部分は飛ばして読み進めていただいて大丈夫です。

しかし、英単語の覚え方が分からない方は、ぜひこの部分を読んで実践してみてくださいね。

リーディング力アップに必要な単語の種類とレベルを確認する

まず単語を覚える際に大切なのは、自分にどのような単語が必要か理解する事です。

例えば英語学習の初級者が、上級者が使う単語を覚えるのは難しいです。仮にその瞬間に暗記はできてもなかなか使う機会に遭遇する事はないでしょう。また、必要とする分野と異なる分野の単語を覚えるのも難しいでしょう。意味が全くないとは言いませんが、効果的ではありません。

大前提として、自分が必要としている英単語を知ることが大切です。そして自分のレベルに合ったものなのか確認してから学習を行うようにしましょう。

覚える数で無理をしない

もう1つ重要な事は、頑張り過ぎないという点です。

学習を始める時はやる気があるので、「1日100単語覚えたい!」のように、結構欲張った目標を立ててしまいがちです。

しかし、努力して1日で覚えた100語は、翌日には忘れている可能性が高いのです。これはむしろ当たり前なので、それを受け入れるしかありません。

仮に1日で100語を覚えると決めて、100語を確認したとしましょう。そして2日目に新しく100語を覚えようとします。前に詰め込んだ100語の多くが記憶から漏れていってしまうのです。そして3日目も同じく別の100語を詰め込むとします。2日目に覚えた(と思った)単語が漏れて行く。その繰り返しになるのです。1週間で700語覚えたと思ったけれど、実は40~50語を何となく覚えている。そのくらいに留まっている可能性があります。

これは決して効率的な勉強法とは言えないですよね。

これがOKなのは、1週間後に英語のテストがあるなどの場合です。決まった単語をとりあえず暗記する必要があるというような場合です。

ではどうすれば良いのか?

それは、忘れなくなるまで繰り返し学ぶ事です。

繰り返す回数や頻度は人によって異なります。しかし学習した単語を翌日にも確認し、復習するという事が必要になります。

単語を学習する上でこの繰り返しの大切さはとても重要。効率的に学習を進めることができるからです。

これからもしっかりとリーディングを含め、覚えた英単語を使えるようにする。そのためには、「短期間で多くの単語を覚えたい」という気持ちを抑えましょう。学習は量より質と言い聞かせながら学習する事が大切です。

例えば、「毎日100単語覚える!」という量重視の目標設定ではなく、「1週間で100語を使いこなせるようになる!」という質重視の目標設定の方がおすすめです。

「1日100単語=1週間で700語」は、1週間で100語より圧倒的に少ないです。しかし、特に英単語は量の問題ではありません。1週間同じ100語を繰り返しながら覚えて行く方がよいのです。1週間後に記憶に残り、しっかりと身についている単語数は間違いなく多いでしょう。

もしあなたが暗記が苦手でも、1週間繰り返せば覚えることができます。リーディング力アップのため頑張りましょう!

1週間で100語という単語数はあくまでも例です。無理をせず、まずは確実に覚えられる数を目標にすることが大切です。

最初の1カ月程は少なく始め、慣れてきたら徐々に増やしていくのも良いでしょう。

リーディング力アップのための単語勉強法

それではここから具体的な単語の勉強法を見ていきます。

今回は4つのステップでできる勉強法をご紹介します。

準備していただくものは単語帳です。これは前述の通り、学習者自身が必要とする単語とレベルが合っているものを選びます。

リーディングのためには必ず必要という訳ではありません。しかし、音源があると発音も確認できます。リスニングやスピーキングの役にも立つ単語学習となります。 ちなみに単語は見て覚えるだけではなかなか覚えられません。書いたり、声に出したり、耳で聞いたりする作業を加える方が記憶に残り易くなります。

ステップ1:単語の意味を確認する

まずは一定期間で覚える単語(例:1週間で100単語)の意味を全て確認します。

1つの単語に複数の意味があるものもあります。まずは一番頻度が高く使われる意味を覚えましょう。これは基本的には最初に書かれている日本語の訳になります。

音源がついている教材の場合、この段階で単語の発音方法も確認すると良いでしょう。

ステップ2:例文を確認する

大体の単語帳には、例文が一緒に掲載されています。まだ単語帳を持っていない方は、必ず例文が含まれているものを選ぶようにしましょう。なぜなら、単語が文中でどのように使われるかを確認する事が可能だからです。文章内で遭遇した場合にも理解できる可能性が高くなるからです。

また、そういった例文には、知らない単語やフレーズが含まれている場合があります。そういったものもおまけとして覚える事ができます。

また、もし学習時間を多めに取れる場合、覚えたい単語を使った例文作成もおすすめです。

ステップ3:例文を音読する

単語帳に載っている例文の場合は、音源を使って音読もするようにしましょう。

音読をする事で、声や耳を使うため、より単語を覚えやすくなります。

例文を音読する際は、下記の3ステップに従って行いましょう。

理想としては、各ステップを3回以上繰り返してから、次に進むようにしましょう。

① 音源を聞く → 音読する
② 音源と同時に英文スクリプトを見ながら音読する(オーバーラッピング)
③ 音源を追いかけて英文スクリプトを見ずに音読する(シャドーイング)

ステップ4:単語の定着を確認する

ステップ1~3を1週間のように、決めた期間繰り返しましょう。そして単語をしっかり覚えているかの確認を忘れずに。

確認方法は、英単語を見てその日本語訳をスムーズに言えるか見てみるというものです。更に例文の日本語を見て、それに対する英文がスラスラ出てきたら完璧です。

ただ、英語の英文が言えるかはボーナスです。英単語を見て直ぐに訳が分かればOKです。

ちなみにどうしても覚えられない単語もありますよね。それは何度も繰り返し書きながら覚えると良いでしょう。漢字もそうですが、書く事で、脳に刺激を与えながら覚える事ができるようになります。

以上が英単語の勉強法です。ポイントは無理のない数を決めた期間の間で繰り返し確認して行く事です。単語は一朝一夕でどうにかなるものではありません。

長い期間をかけて増やすものだと覚えておきましょう。

読書のイメージ

リーディング力を上げるためにも英文法は必要

英単語の必要性をお伝えした際に、文は単語を並べたものと説明しました。

よって単語はとても重要なのですが、それと同じように重要なのが英文法です。

英文法がある事で、それらの単語を並べる順番が決まります。

そして、何をどのように並べるという規則を理解しましょう。どのような品詞、またはどのような情報が続くかが分かり、文を理解しやすくなります。

時々「英語を話すためには英文法は必要ない」と言っている事を耳にします。しかしそれは全くの間違いです。そしてリーディングを行う上でも英文法は必要なのです。

ただ英文法に関しては、特別な学習方法があるという訳ではありません。そのため、恐れる必要はありません。英文法の勉強をお伝えする前に、文法の学習で必要なものについてちょっとお話しします。

文法の勉強で必要なもの

文法の勉強に必要なものは英文法の本です。リーディング力を上げるには不可欠な文法理解。

今ではインターネット上でも参考になる英文法のサイトが沢山存在します。しかし、英文法を学習する際には、本を用意した方が間違いなく良いと言えます。

それは本の方が、文法事項が1冊の本にまとまっていて見つけやすいからです。必要に応じて直ぐに別の文法事項を確認して戻る事ができます。また、しっかりとした例がより多く含まれるからです。

ただ、出先等ではインターネットにある文法サイトをぜひ積極的に使ってください。

文法書を選ぶ際ですが、絶対にこれを選ぶべきというものはありません。なぜなら書店には多くの優れた文法書があるからです。

では、どのようにその中から1冊選べば良いのでしょうか?

まずは書店へ行き、自分なりに良いと思う文法書をいくつか見つけましょう。それは直感で良いと思ったものでも、事前に調べて評価が高いものでも結構です。

その中から、同じ文法事項を扱った単元を読んでみてください。そして、「説明等の分かり易さ」、「レイアウト等の見やすさ」と「例文の充実度」を比べて、あなたが一番良いと思ったものを選ぶようにしましょう。

もちろん、文法書の中には、「上級者向け」のちょっとマニアックなものもあります。それらはリストから予め外して、基礎文法を取り上げているものから選びましょう。

1冊選んだら、最後までその本を使って英文法の知識を磨いていきます。

英文法の勉強法

リーディング力をつけるための英文法の勉強法は、大きく分けて2通りあります。

1つは、英文法が苦手だったり、全く、またはほとんど覚えていない方向けです。こういった方は、最初から最後までじっくり小説を読むように読んでいきましょう。

大体最初は「品詞」や「文型」についての説明、または「be動詞」等から始まります。基本中の基本ではありますが、こういった基本をしっかりと理解する事がリーディングには重要です。

1つの単元を読み終えたら、その文法事項を使った例文を作ってみるとよいでしょう。また、自分自身に、読んだ内容説明をしてみましょう。

説明ができれば理解できていることが分かります。もしつまづく箇所があれば、そこを再度確認しましょう。

このように、本当に自分で理解できているか確認しながら進めて行くことが重要です。

また、数日後に同じ単元を再度読んで復習してみましょう。最初に読んだ時には気付かなかった点に気付ける事もあります。

2つ目は、文法はある程度理解していると感じている方向けです。

基礎文法にある程度自信がある方でも、筆者は最初から読む事をおすすめします。しかし、絶対に行わなければならないという事はありません。

自身の知識に少しでも不安がある文法項目のみを確認して行く形でよいでしょう。

最初から読む方は、小説を読むイメージで。ある程度分かっている方は、雑誌で興味のある記事を読むようなイメージです。

また、文法が得意な方は「分からない部分を文法書で確認する」でも問題はありません。

該当の単元の内容を読む、例文作成、自分自身に説明するという作業は行いましょう。実は理解できていなかった点に気付けるかもしれません。

上記の通り、英文法の理解度に応じてアプローチの仕方は異なります。リーディング力を伸ばすために英文法は必要不可欠。いつでも学習、または確認できるようにしておきましょう。

文を前から意味の塊で理解する

次は、リーディング力を伸ばすために押さえておくべき点の3つ目。文を前から意味の塊で理解する事についてです。

上級者になると、英文を和訳せずにそのまま理解できるようになってきます。

しかし、初級者や中級者の方は、そうは出来ず、日本語に訳しているかと思います。これは自然な事です。単語や文法の知識を増やしていきながら、訳す量を減らして行けば良いのです。

しかし、訳して読んで行く場合でも注意すべき点が1つあります。

それは「戻り訳」を避ける事です。

戻り訳を避けるべき理由

まずは「戻り訳」とは何か簡単に説明します。

英語と日本語の文では語順が異なります。

それによって、英語の文を行ったり来たりする事になります。英語の文を読んだ後に綺麗な日本語に訳そうとするからです。これを「戻り訳」と言います。

「戻り訳」を行ってはならない大きな理由は、時間がかかるからです。

リーディングは、TOEICなどの試験を除き、スピーキングやリスニングより時間はあります。しかし、本来10分で読める内容があるとします。しかし「戻り訳」をすることで15分や20分かけて読む事になってしまいます。

それを回避するために行うべき事が、英文を意味の塊で前から理解するという事です。要するに、英文を意味の塊で切り、その塊を日本語に訳して理解するというものです。これを「スラッシュリーディング」と言います。

スラッシュリーディングは、リーディング力を伸ばしたい方に必須な方法です。

複雑な構文が含まれた英文では上手に切れない事もあります。しかしそうでない文であれば、大体切る事は可能です。 ではそのスラッシュリーディングはどのように行うのでしょう。

スラッシュリーディングのやり方

スラッシュリーディングの「スラッシュ」とは、「/」斜線を意味します。

文を意味の塊ごとに区切る際には、このスラッシュを使っていきます。そのスラッシュを使ったリーディング方法の事をスラッシュリーディングと言います。

それではここで英語の例文にスラッシュを入れて、意味の塊で区切ってみましょう。

We got / a really nice table / from our friends / last week / as a wedding gift. /

この文にはスラッシュを入れてあります。意味の塊ごとに前から日本語に訳してみましょう。

私達は手に入れました / とても素敵なテーブルを / 我々の友人達から / 先週 / 結婚祝いとして /

日本語の文としては不自然な順番になっています。しかし読んでいて理解ができないという事は無かったと思います。

もちろんgotのような意味が多い単語に関しては、様々な訳が考えられます。そのため少し読み進めて調整する必要はあります。

しかし、リーディングは基本的に自分が読んで理解ができればOK。不自然な日本語訳になっても、単語の訳がずれていても大きな問題ではありません。

何よりも、文を読む時間を早めながら、理解度を上げる事ができるのです。

スラッシュリーディングの効果は理解していただけたと思います。では次に出て来る疑問。この「意味の塊」はどのように作れば良いのか?というものですよね。

切り方に関しては、ここで切らないと駄目だというルールはありません。しかし、この部分で切ると良いという目安はあるので、それを今回はご紹介します。

また、意味の塊の長さですが、これは学習者の英語のレベルによっても異なります。最初は短めの意味の塊を作って慣れていきましょう。それから少しずつ長めの塊にしていくことを意識するとよいです。将来的に意味の塊を意識せず、文の前から情報を理解することを目標にしましょう。

では、意味の塊の作り方を例と一緒にいくつか確認してみましょう。

・句読点の後
コンマやピリオドといった句読点の後にスラッシュを入れることができます。
There was one more, / so I was able to get it.

・前置詞句の前
in, on, atといった前置詞の前にスラッシュを入れることができます。
We found the hat / in the bedroom.

・関係代名詞と関係副詞の前
文中に入るwhatやwho, whereといった関係詞の前にスラッシュを入れることができます。
I think Lucy is the one / who gave you the chocolate.

・that節の前
that節の前にスラッシュを入れることができます。
I was told / that I got the job.

・to不定詞の前
「~すること」や「~するため」といった意味を持つto不定詞の前にスラッシュを入れることができます。
We stopped at the train station / to pick Ben up.

・接続詞の前
and, butやbecauseといった接続詞の前にスラッシュを入れることができます。
I went to the party, / but it was already finished.

・主語が長い場合にはその後
主語が長くなっている場合にはその後にスラッシュを入れることができます。ただし、既に紹介した他の目安が含まれている場合、そこで切ることも可能です。
The book written by my best friend / was advertised on TV.

・長い目的語や補語の前
目的語や補語が長い場合には、その前にスラッシュを入れることができます。
He decided to buy / the brown Italian leather jacket.

これらはあくまで目安なので、参考として覚えておいてくださいね。

スラッシュの入れ方は以上です。スラッシュはどんどん教材等に書き込んで練習していってください。

では、実際にどのようにスラッシュリーディングを行うかお伝えします。やり方はとても簡単なので、スラッシュの入れ方が分かれば、後は練習するだけです。

① 英語の記事や会話文のスクリプトを用意し、それにスラッシュを入れて意味の塊を作ります。

② 「意味の塊(英語)」→「意味の塊(日本語)」の順で文の頭から意味を確認していきます。その際に、分からない単語や表現がある場合には調べましょう。

③ 繰り返し②の作業を行い、英語の意味の塊を読んだ際、日本語に直さなくても意味がスッと浮かぶようにしましょう。そこまで出来るようになったら、新しい素材に移りましょう。

おまけとして、もし英語のスクリプトの音声がある場合。耳で聞いても前から理解できるようにしましょう。ついでにリスニング力も上げられたら一石二鳥ですよね。

このスラッシュリーディングを習慣として行うことで、徐々に英語を読む際に、文を前から素早く理解することができるようになります。

まとめ

今回の記事はいかがでしたか?

英文Eメールの需要は今度更に高まってくるでしょう。英語で書かれた情報をタイムリーに得る事が求められてくる可能性もあります。そういった意味で、リーディング力はこれからの時代は更に求められる力になります。

いつかはAIが解決してくれるかもしれません。しかしそれまでは、自分で英語を読んで理解する力を身につけるようにしましょう。

 

こちらも合わせて読んでみましょう。
スラッシュリーディングとは?英語の語順で理解する

 

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で

Leave a Response